星野有史 “研究所通信/ハーネスランド”

マリアのイラスト
 「ハーネス・ウィ研究所通信」のタイトル『ハーネスランド』は、天使犬ウィが暮らしていた故郷、理想の福祉社会をイメージした「共星=ハーネスランド」から名前をつけました。この星に住む天使達が協力し合って生活しているモデルを理想に、私達も心のハーネスを輝かせ、ともに助け合い成長できるコミュニティを願って発信するものです。
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あり得ないこと、みんなで
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    あり得ないこと、みんなで


    これはやばい、と思った。
    かなり厳しい、と頭を抱え込んだのを覚えている。
    病気で視力が低下していく14歳からのこと。
    歩けないのは勿論だけどね、
    まだ中学生だったでしょ、
    高校進学もある。
    黒板の字が見えないだけじゃないんだ。
    教科書を顔に近づけて読もうとしても、活字が溶け込んじゃって白紙に!

    盲学校に入った。
    高校2年生の17歳で全く光がなくなっちゃった。
    少しずつ覚えるようにしていた点字で学習したんだけど、
    触って思うように読めるわけでもないし、
    それでカセットテープに録音してもらったものを聞いて暗記した。
    心理学・福祉学に興味があり、大学を目指したのだが、
    多くは点字で受験できない。
    門前払いってやつ('_')
    それでも何で頑張ってこられたのかな?

    眼痛もあったし、手術を受けて入院もした。
    けれどそばにいてくれる家族があり、友達や先生が心配してくれて、
    点字の問題集はボランティアが、学習塾の講師が家で助っ人、
    進路相談にソーシャルワーカーも熱心に耳を傾けてくれた。
    それらが強い味方であったことは間違いない。
    でも、きっとそれだけじゃない。
    心の奥にあるやりきれなさ、劣等感、理不尽な社会に対する腹立たしさが
    自分を駆り立てた。

    いろんな人たちの協力があって大学に入学できた。
    だけど見えないで勉強していくには、
    それからも同じ様に別メニューを加えなければやっていけない。
    「そんなに勉強好きじゃないし、むしろ嫌いだ。だから……」
    ちょっとだけフルートが吹けたので音楽系サークルを訪ねて回った。
    ダメ、とは言わないけれど、それが伝わる雰囲気だったのでストップ。
    へこんだ。
    そんな時!
    吹奏楽部が誘ってくれて……嬉しかったよ(#^.^#)
    「目が見えないんだって。それじゃ聞いて暗譜できちゃうんだ。すごーい」
    これまで「これも、あれもできない」なんてマイナスばかり並べられてきた。
    それが!

    耳がいいわけでもないし、音楽に秀でているんでもないのに、
    違う角度から可能性を認めてくれた。
    それから演奏会もコンクールも、勉強もして大学院に進めたのは、
    自分で言うのも変だけど、あり得ない!
    そんな学生時代を思い出させてくれた本。

    坪田信貴著
    『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』
    (KADOKAWA)
    有村架純主演で映画化された『映画 ビリギャル』も感動、ジーンときた。

    自分と背景は異なるけれど、
    一から出直しの勉強や学校以外の場で教わってきた経験が重なるからか。
    口惜しさをばねに努力して合格を勝ち取った彼女、
    著者である塾講師の教え方にも驚きの連続!
    しかし、この作品の魅力は受験に関わった全ての人たちが、
    成長していくところにあるんじゃないかって思う。
    家族がまとまり、友達の応援があり、人格的なつながりも、
    つまり“学び合い”があった。
    その本質は自分にも思い当たるところが!

    吹奏楽部を引退する時に先輩から言われた言葉。
    「君に教えられた」と。
    目が見えないのにやっていけるはずがない、と反対していたそうだ。
    その後で知った入部をめぐるサークル内での話し合い。
    自分も一生懸命だったが、それはメンバーにとっても同じだったのだ。
    支えられた自分。
    でも、それは一方的な行為ではなくて……
    交互作用の中で化学反応が起こり、学び合いという答えが導かれた。

    今、自分は教育に携わっているが、そこで大切にしているのが……
    そう、学び合いの関係。

    受験シーズン真っ只中。
    問題集や参考書を広げるのは必須だけどね、
    こうした本を手に取り、
    学ぶことの素晴らしさに触れるのもいいんじゃないかなって。
    全ての受験生に心からのエールを送るよ。


    <星野有史>



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