星野有史 “研究所通信/ハーネスランド”

マリアのイラスト
 「ハーネス・ウィ研究所通信」のタイトル『ハーネスランド』は、天使犬ウィが暮らしていた故郷、理想の福祉社会をイメージした「共星=ハーネスランド」から名前をつけました。この星に住む天使達が協力し合って生活しているモデルを理想に、私達も心のハーネスを輝かせ、ともに助け合い成長できるコミュニティを願って発信するものです。
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令和の花は嘘をつかない
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    令和の花は嘘をつかない


    12月を師走なんて言いますが、
    この時期だけでなく、
    あっという間の一年に感じられるのは私だけでしょうか?
    元号が令和に変わってすでに8ヶ月!
    平成がどんどん小さくなっていく中に、
    何か大切なものさえも見えなくなっていくようで、
    そんな不安にかられることも。

    今年も高校・大学、市民講座などで講演をする機会に恵まれました。
    アイメイト(盲導犬)についての理解はもちろん、
    人権・福祉の課題を共に学ぶ時間にできたことは大きな喜びです♪
    「社会参加は犬の話ではなく、人権問題であること」
    「進路に行き詰まった時に自分の道を作る生き方が参考になった」など。
    言葉が足りず上手に伝わらなかった点、
    もっと聴いていただいている皆さんと一体感が作れたら。
    そんなふうに反省するところはあるのですが、
    こうしたリアクションには私自身励みになるばかりでなく、
    大いに勉強させられるところでもあります。
    ですが、
    そんな中には気になる内容も!!!

    〈学生の感想〉

    盲導犬が目的地を知っているわけではないので道に迷うことだってある。
    そんな時は人に尋ねると。
    でも、きっと私が見えなかったら教えてもらえたとして信じられるかどうか。
    無理かも。
    だまされている。
    そう感じるでしょう。
    だから、
    もし自分が見えなくなったら
    白杖でも盲導犬と一緒でも一人で外出なんてできません。
    おそらく引きこもると思います。

    視覚障害者の自立や社会参加、助け合いを否定しているわけでもなく、
    それに私の話に反論しているのでもない。
    けれど、何かが違う。
    他の人とは。
    それは一体何なんだろう。

    一般的な解釈はこうかもしれません。
    この学生がネガティブ思考で疑い深い面があり、
    それが自己防衛を強める結果になっている。
    トラウマになるほどの嫌な経験があり、
    人と関わるのが極度に苦手。
    いずれにしても個人の問題であって、
    メンタルな部分での理解が必要なのでは。
    そう考えれば人を信じられずに
    自分の殻に閉じこもるかもしれないことを示唆したこの学生が特別か。

    私はもやもやしている気持ちの奥底を探るべく、
    何度もそのメッセージを繰り返しました。
    そのうち
    そんな学生の真意を読み取れるような……
    今年の出来事が次々と浮かんできたのです。

    いじめの問題は後を絶ちません。
    命を絶つ取り返しのつかないケースも。
    それが教育者同士のいじめまで表面化し、
    ニュースになったのでは誰を信頼すればよいのやら。

    虐待も、
    SNSで知り合った人に監禁、そんな事件もありました。

    引きこもりは子どもたちだけでなく、大人も。
    ハラスメントにあって職を追われる。
    自殺せず逃げ込んだ安心の居場所。
    しかし、中にはそこから派生する報道も耳に!
    親子関係の破綻や地域トラブル、
    人を傷つけた事件まで。

    お年寄りには相変わらずのおれおれ詐欺、
    アポ電なんて手荒な犯行も。

    政治はどうか。
    記録の改竄、破棄。
    何度聞いても無理のある答弁を信じられるはずもありません。

    これらのことに目をつぶらなければ生きていけない社会。
    私はつぶらなくても見えないので疑いもせず
    人に道をたずねられるなんてわけではありませんよ。
    電車で隣りに座った人にさえ
    盲導犬にいたずらするのではないか、なんて不安も。
    だとするならば
    外に出られるか内にこもるかは紙一重。
    そんなふうに思うと
    人を信じられないとあった学生の心理にもうなずけるのです。

    確かに社会はおかしいです。
    けれど、
    それでいいわけではありません。
    変えていく必要がありますよね。
    大きなことはできませんが、
    自分にできることでいい。
    そういうことを講演会で伝えたかった。

    新しく「令和」が発表された時、
    そこに込められた思いを聞いて
    私はずいぶん考え抜かれた元号だと驚かされました。
    一人ひとりが明日への希望とともに、
    それぞれの花を大きく咲かせることができる、
    そうした日本でありたいと……。

    そのためには
    太陽も水も風も土壌もなければ花は咲きません。
    人は?
    色々な条件はあると思いますが、
    「信頼」は絶対でしょう。
    それが感じられる社会環境を築くこと。

    来年、桜の時期に
    嫌な政治のニュースがよみがえらないような春を望みたいものです。


    <星野有史>



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